ウィーンへの移住を検討されている方から、質問が届きました。
質問者の方は、
- 20代後半男性
- デザイン関係のお仕事をされている
- ウィーンに留学経験あり
- 夫婦で移住を検討されている
- ゲーテに通っている
- 奥さんは英語が堪能
このような方です。
手に職もあり、語学面でも一般の方よりは有利で、ウィーンに住んだ経験もある方です。
もしかするとこの記事を読んでいる方より、オーストリアの移住にかなり有利な方かもしれません。
ですが、この記事の内容は一般の方にも有益になるように汎用的な内容にもなっています。
なのでオーストリアへの移住を検討されている方には役に立つ情報だと思います。
ウィーンへの完全移住は難しい?
まず、いきなりですが、永住権を取得して、ウィーンに完全移住をすることは簡単ではありません。
ウィーンに長期滞在するためには、Aufenthaltstitel(アウフエントハルツティーテル)と呼ばれる滞在許可が必要になります。
この滞在許可を取得するためには、
- オーストリアで学生をしている
- 滞在許可を持っている人と家族である
- オーストリアで一定額以上の給与を受け取って仕事をしている
この三点のいずれかを満たしている必要があります。(大使館や日本企業からオーストリアに働きに来ている駐在の方などを除きます)
ご質問者様は、デザイン関係のお仕事をなさっているとのことでしたので、実際どの程度の仕事の募集があるのか、Karriere.atで検索してみました。
結果、求人自体はそこそこあるという印象でした。ただ、これらの仕事の入社試験を受けるにあたり、外国人であることの壁が出てきます。
多くの会社は、オーストリアで労働許可を持っている人や、オーストリアで勉強してきた人・インターシップをしてきた人を募集しているため、滞在許可も労働許可も持たない人をわざわざ雇用するということがほとんどないのです。
学生としてウィーンのデザイン学校や美術学校に入学し、そこで労働許可がない外国人でも雇用してくれる会社の情報を集め、それらの会社の入社試験を受けるという道もありますが、必ず就職先が見つかるという保証もないので、かなり思い切った賭けになりますよね。
また、言葉に関してですが、ウィーンの学校は、入学に際してドイツ語の試験を行っていたり、B1やC1(学校の種類によってレベルが変わります)の資格を要求しているところが多いです。
奥様は、英語がご堪能とのことですが、もしも滞在許可を取得する場合には、それが学生用の滞在許可でなく、旦那様の滞在許可に付随する家族用の滞在許可であったとしても、ドイツ語のA1の証明書が必要になってきます。
A1を取得することはそう難しいことではありませんが、基本的なドイツ語の知識は滞在許可取得の為に要求されるので、予め準備をされることをお勧めします。
ちなみに、この資格は日本のゲーテで受ける試験の証明書も有効です。時間があるときに取得されておくと良いかもしれません。
とは言うものの、ウィーンは多くの外国人が住む都市です。
英語ができるということは、ウィーンで暮らしたり、仕事を見つけたりする上で大変強い武器になるでしょう。
オーストリアでは、年配の方でもある程度英語を話しますし、若い世代の人たちも、多くはほとんどネイティブのように話すことができます。
役所でも病院でも、英語でコミュニケーションが取れない場所はほとんどないといっても良いと思うので、ドイツ語に慣れるまでは、英語が話せればとても安心です!
ここまで読み進んで頂いて、ウィーンへの移住、結構大変そう、、、と思われたかもしれません。
自営業で滞在許可をとるという選択肢
自営として滞在許可を取るという選択肢があるかどうかも調べてみたのですが、取得のためには「6か月以上、一つのオーストリア企業との取引がある実績を証明する」必要があるようです。
滞在許可無しでオーストリアに滞在できるのは、シェンゲン協定領域内に入ってから6か月のみなので、初めからこの滞在許可を取得するのは非常に困難でしょう。
また、オーストリア国内に住所が無い会社と契約を結び、オーストリア国内で仕事をする場合、その仕事が6か月以上かかるのであれば申請できる滞在許可もありますが、移住する目的がない場合に限る、とあるため、日本の会社の仕事を日本から受けながら、永遠にオーストリアで作業するという方法も、移住が目的とみなされる可能性があり、少し難しいかもしれません。
完全移住以外の選択
実は、ややこしい手続きやドイツ語の試験をせずに、ウィーンにロングステイすることは可能なんですよ。
それは、完全移住ではなく、滞在許可を取らないで、1年の半分だけウィーンに住むという選択肢です。
オーストリアと日本には、二国間の査証免除取極があるため、ビザや滞在許可がなくても、オーストリアには1年のうち最大6か月間滞在することが可能です。
オーストリアのマンションを借りたり、銀行に口座を開設することは、滞在許可なしでも可能なので、オーストリアに一部屋借りて、1年の半分をウィーンで過ごし、残りの半分を日本で過ごす、というスタイルならば、ややこしい滞在許可や就職に頭を悩ませることなく、暮らすように滞在することが可能ではないかと思います。
ちなみに、私がはじめて日本からオーストリアにやってきたのは28歳の時でした。
オーストリアで28歳と言えば、まだまだ若く、学生をしている人もたくさんいます。
一度、日本の大学を卒業してから、再びオーストリアの大学で学ぶ日本人もいます。
ウィーンでは20代後半で学生をしている日本人に知り合うことも多いでしょう。
もしも永住を望まれるのならば、まだまだお若いのですから、諦める必要はありません。チャンスはあると思います!
オーストリアに移住して感じること
私は勢いで、永住コースになったタイプの人間です。
実際にオーストリアに永住することになると、
- 日本の両親が齢をとって来た時どうすればいいのかな?
- 日本とオーストリアでは年金の協定がないので、将来十分な年金が受け取れないのではないかな?
- 2016年9月から日本への飛行機直行便がなくなってしまうので、一時帰国が大変になるな
- 難民問題、テロ問題で物騒なことも多いな
- 日本とオーストリア両方で仕事する場合税金の扱いはどうなるんだろうな
なんていう現実的な心配事も増えてきます。
でも、それらの問題を差し置いても、ウィーンには
- 街自体の芸術的な美しさ
- 優れた文化や福祉体制
- プライベートの時間がとても重んじられること
- 子育てのしやすさ
などたくさんの魅力があることに間違いはありません。
完全移住を決断する前に、奥様と一緒にお試しで数か月、ウィーンにお部屋を借りて生活してみる、というのも悪くないかもしれませんね。それから移住のスタイルに関して決断するのでも遅くないと思います。
最後に、移住に関して参考になるサイトを少しご紹介しておきますので参考にしてください。
オーストリア移住に役立つリンク集
在オーストリア日本大使館
http://www.at.emb-japan.go.jp/jp/
説明不要ですよね。何かと役に立つサイトです。
ウィーン観光情報
http://wien-jp.com/
観光情報ですが、掲示板で実際に住む人たちの生の声を聞いたり、部屋を探したりすることができます。
トラベロコ
https://traveloco.jp/
現地に住む人から情報を得たり、様々な手助けをお願いすることができます。
HELP.GV.AT
https://www.help.gv.at/Portal.Node/hlpd/public
生活基本情報サイトです。(英語とドイツ語のみ。)
wien.at
https://www.wien.gv.at/
こちらも生活基本情報サイトです。残念ながら日本語はなしです。
Willhaben.at
https://www.willhaben.at/iad
お部屋探しに役に立ちます。残念ながら日本語はなしです。
karriere.at
http://www.karriere.at/
文中に登場したオーストリアの求人情報です。
業種や職場などを選んで、仕事を探すことができます。
以上になります。
私は、このサイトでオーストリアに関する記事を他にも書いているのでよろしければごらんくださいね。
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